[2-4] 正の整数と負の整数の和

正の整数と負の整数の和について,次の性質が成り立ちます.

◇ 正の整数と負の整数の和 ◇

\( l,m,n \) を自然数とする.

  1. ① \( m+(-n)=(-n)+m \)
  2. ② \( \{l+(-m)\}+n=(l+n)+(-m) \)
  3. ③ \( \{l+(-m)\}+(-n)=l+\{-(m+n)\} \)

①は「正の整数と負の整数の和は交換できる」ということを表します.これは,\( m \) と \( n \) の大小関係で分けて次のように証明できます.


・\( m\gt n \) のとき,\( m+(-n)=m-n=(-n)+m \)
・\( m=n \) のとき,\( m+(-n)=0=(-n)+m \)
・\( m\lt n \) のとき,\( m+(-n)=-(n-m)=(-n)+m \)
以上から,\( m+(-n)=(-n)+m \) である.■

②も同様に,大小関係で分けて次のように証明できます.


(i) \( l\gt m \) のとき,\( l+n\gt l\gt m \) であるから,
\( \{l+(-m)\}+n =(l-m)+n\)
  \( =(l+n)-m\)
  \( =(l+n)+(-m) \)

(ii) \( l=m \) のとき,\( l+n=m+n\gt m \) であるから,
\( \{l+(-m)\}+n=0+n=n\)
  \( =(m+n)-m\)
  \( =(l+n)+(-m) \)

(iii) \( l\lt m\lt l+n \) のとき,\( m-l\lt n \) であるから,
\( \{l+(-m)\}+n=\{-(m-l)\}+n\)
  \( =n-(m-l)\)
  \( =(l+n)-m\)
  \( =(l+n)+(-m) \)

(iv) \( m=l+n \) のとき,\( m=l+n\gt l \),\( n=m-l \) であるから,
\( \{l+(-m)\}+n=\{-(m-l)\}+n\)
  \(=0=(l+n)+(-m) \)

(v) \( m\gt l+n \) のとき,\( m\gt l+n\gt l \),\( m-l\gt n \) であるから,
\( \{l+(-m)\}+n=\{-(m-l)\}+n\)
  \(=-\{(m-l)-n\}\)
  \(=-\left\{m-(l+n) \right\}\)
  \(=(l+n)+(-m) \) ■

③も同様に示せますが,証明は練習問題にします.

練習問題

③を証明せよ.

解説

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