[1-3] 自然数の加法の性質

自然数の加法について,次の性質が成り立ちます.

◇自然数の加法の性質◇

$x,y,z$ を自然数とする.

  1. ① $(x+y)+z=x+(y+z)$ [結合法則]
  2. ② $x+y=y+x$ [交換法則]

$x+y+z $と書くと,$x+y$ と $y+z$ のどちらの「+」を先に計算するかが定まりませんが,結合法則は計算の順序によらず,結果が同じであることを表します.つまり,$x+y+z$ と括弧を省略して書くことができます.

交換法則は,計算の順序を入れ替えられることを表します.例えば,$13+29+37$ は $42+37=79$ と計算してもよいですが,次のように計算できます.

$13+29+37$
 $=13+37+29$
 $=50+29=79$

このように,順序を工夫することで,計算が簡単になることがあります.

結合法則は,$z$ についての数学的帰納法を用いて証明できます.$z=1$ の場合は加法の定義から成り立つことが分かります.

  1. (i) $z=1$ のとき,加法の定義から
    $(x+y)+z$
     $=(x+y)+1$
     $=x+(y+1)$
     $=x+(y+z)$

$z=k$ での成立を仮定し,$z=k+1$ の場合を考えると,加法の定義から$(x+y)+(k+1)={(x+y)+k}+1$ です.$(x+y)+k$ の部分に仮定が利用でき,$z=k+1$ での成立が確認できます.

  1. (ii) $z=k$ のとき,①が成り立つと仮定すると,
     $(x+y)+(k+1)$
      $=\{(x+y)+k\}+1$
      $=\{x+(y+k)\}+1$ (∵ 仮定)
      $=x+\{(y+k)+1\}$
      $=x+\{y+(k+1)\}$
    であるから,$z=k+1$ のときも①は成立する.■

交換法則も同様に帰納法で証明できますが,証明は練習問題とします.

練習問題

(1) $18+47+63+89+172$を計算せよ.
(2) ②を証明せよ.

解説

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