[1-11] 自然数の乗法の性質

数といっても自然数,整数,有理数,…のように色々な数があります.このセクションでは,最も基本的な数である自然数について学んでいきます.

「3個」や「7番目」のように,個数や順番を表す際に用いる数が自然数です.自然数とその加法(足し算)を定義します.

◇ 自然数の加法 ◇

自然数の乗法について,次の性質が成り立ちます.

  1. ① $1⋅x=x⋅1=x$
  2. ② $(xy)z=x(yz)$ [結合法則]
  3. ③ $(x+y)z=xz+yz$,$x(y+z)=xy+xz$ [分配法則]
  4. ④ $xy=yx$ [交換法則]

加法の場合と同様に,結合法則により $xyz$ と括弧を省略して書くことができます.交換法則も同様に,計算の順序を入れ替えられることを表し,例えば $15×9×8$ は次のように計算できます.

$15×9×8=15×8×9=120×9=1080$

また,分配法則を用いると $13⋅17+37⋅17$ は次のように計算できます.

$13⋅17+37⋅17=(13+37)⋅17=50⋅17=850$

このように,交換法則や分配法則を用いることで,計算が簡単になることがあります.

①~④は乗法の定義に従って,次のように証明できます.

  1. ① $ 1⋅x=\underbrace{1+1+⋯+1}_{x 個}$
       $=\underbrace{x}_{1 個}=x⋅1$ ■
  2. ② $(xy)z=\underbrace{xy+xy+⋯+xy}_{z 個}$
      $=\underbrace{\underbrace{(x+x+⋯+x) }_{y 個}+\underbrace{(x+x+⋯+x) }_{y 個}+⋯+\underbrace{(x+x+⋯+x) }_{y 個} }_{z 個}$
      $=\underbrace{x+x+⋯+x}_{\underbrace{y+y+⋯+y}_{z 個} \ 個}$
      $=\underbrace{x+x+⋯+x}_{yz 個}=x(yz)$ ■

③,④も同様に示せますが,証明は練習問題にします.

練習問題

  1. (1) $15⋅7⋅8⋅6⋅25$ を計算せよ.
  2. (2) $37×11+13×28+17×37$ を計算せよ.
  3. (3) ③,④を証明せよ.

解説

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